食事場面でムセは誤嚥の重要なファクターといえます。ムセを見るポイントを以下に示します。
今回は、食事中のムセをしっかり捉え、どのように対応したら良いかについてお話しします。
いつムセたのか
1)考えられるムセの原因
・食事の前半:食事に対して口腔や咽頭などの準備が整っていなかった可能性など
・食事の中盤:嚥下のタイミングの問題または誤嚥につながる可能性のあるムセなど
・食事の後半:疲労による影響など
2)対応方法
・食事の前半:食前の嚥下体操など
・食事の中盤:現場で姿勢の調整、食事形態、水分、形状の調整を行うなど
・食事の後半:一定時間で食事を終了するなど
なにを食べたときにムセたのか
1)考えられるムセの原因
・全粥:内部離水しやすく、離水した水分が原因の可能性など
・飯類:咀嚼や嚥下などにより粒がばらけ、喉頭侵入してしまう可能性など
・副菜:対象者にとって水分が出やすい、のどに残りやすい物性の可能性など
・水分:水分形状が対象者の嚥下機能に合っていない可能性など
2)対応方法
・全粥:酵素入りゼリーの素を使用するなど ※とろみ調整食品は物性が変わるため推奨しない
・飯類:咀嚼を促すなど
・副菜:食材の水分を極力切る、食材に油を混ぜるなど
・水分:対象者に合ったとろみ濃度に調整する
どうしているときにムセたのか
1)考えられるムセの原因
・自力摂取中:姿勢、食事形態、一口量、食具、環境が合っていないなど
・食事介助中:姿勢、食事形態、一口量、介助方法が合っていないなど
・安静時 :咽頭残留物や唾液の喉頭侵入など
2)対応方法
・自力摂取中:現場で姿勢、食事形態、食具、環境の調整を行うなど
・食事介助中:現場で姿勢、食事形態、食具の調整、2人以上で介助方法確認など
・安静時 :誤嚥しにくい姿勢に設定するなど
どのくらいの量でムセたのか
1)考えられるムセの原因
・食具 :一口量が多くなるようなスプーンを使っているなど
・一口量:嚥下機能に合っていない多さの一口量で提供されている
2)対応方法
・食具 :一口量が対象者に合ったスプーンに変更するなど
・一口量:自力摂取の場合は見守り・声掛け、介助の場合は一口量の統一など
まとめ
ムセた際の状況をしっかりと捉え、原因を考え、現場で即対応することが大切です。
ムセが続いている場合は、どのくらい続くのか、ムセの質はどのようなものかを確認し、緊急性がある場合は食事を中止し処置するなどの対応が必要です。
そのためにも、普段から多職種で対応方法を話し合っておき、どのような場面にも対応できるようにし、事象は正しく記録に残すようにしましょう。
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